ミュージカル刀剣乱舞の脚本家交代

花影を観劇しました!

私は伊藤先生脚本が大好きなんですけれど、伊藤先生の脚本って癖があると思います。
拳で語れみたいな男の人のマッチョイズムとかありますし(特に自分の指示に従わない大倶利伽羅のことを理解していた鶴丸が初手で大倶利伽羅をぼこぼこにして「お前は弱い、俺は強い、俺の指示に従え」ってやったところ。この感覚に馴染みがないと、パワハラとかヒステリーとか八つ当たりと解釈してしまう。私も好んでいるわけではないですけど、そういうのがあるというのは理解している)、好き嫌いが分かれるだろうと思います。


私はみほとせパライソ江水は好みど真ん中で、心覚は自分に合わなかっただし(客席の人もこの劇の一員だよ、という演出にスン…としてしまった。この手の演出がそもそも好きではない)、歴史部分に捻りがないあつかし幕末つはものむすはじは、刀剣男士の心情を素直に楽しんだという感じです。
好きな脚本って推しがいなくても楽しめるんですよね。みほとせ江水はまさにそうでした。

そして花影。

私からすると毒にも薬にもならない、穏やかな話でした。
刀剣男士が無知にされないとか、みんな賢いとか、報連相しているとか(報連相すべきなのは部下であり、上司が部下に『相談』とか、そんな上司は優柔不断すぎて駄目上司でしょう派です)、いいところもあると思うんですけれど、でもそれをクリアした上で緩急や盛り上がりがある脚本ってあると思います。

・みんなが一期一振を本気で心配しているように見えない
・本気で心配していないから、戻ってきたときの喜びが感じられない
・この話を通して成長している姿、もしくはなにか得たものが見えないから、カタルシスが得られない

隊員内でギスギスしろとは言いませんが、感情的になりすぎない意見のぶつかり合いはあってもいいんじゃないかとか(割れた意見をどうするかをばしっと決めるのが部隊長ですし)、なんかこう、見せ場ってどこ……?なんですよね。
伊藤脚本って、ここぞ!なミュージカル見せ場を作るのがうまかったです。

みほとせ→かざぐるま
パライソ→冒頭の反乱シーン、三万七千人の人生!、誰も教えてくれない
心覚→はなのうた、問わず語り
江水→最後の刀剣乱舞

今回、ここまで穏やかな話にするなら、音楽に頼りに頼ってミュージカル見せ場を多めにして緩急をつけてもよかったのでは…?と思いました。


今回で特に思ったのは、伊藤脚本のよさって『粋』だと思うんです。
ほとんどの脚本に『粋』があった。
ときには歴史上の人物に、ときには刀剣男士に。
(例外はパライソですけれど、パライソのあの重たすぎる題材に粋を入れられると、それはもう「……」な気持ちになるので、ストレート勝負で本当によかったです……)
私には合わなかった心覚だって粋が詰まっていました。歴史上の人物三人が出てくるはなのうたの合唱はとても盛り上がりました…!問わず語りも最高でした!合わなくても、見返したい見せ場ってあります。
江水は粋が詰まりに詰まっていて、そして残酷さがそれを美しく彩っていました(肥前くんの元主のところとか、もう言葉にならないぐらいぐさっときます……)

でも花影って粋がどこにもないんですよ〜〜〜!

伊藤さんっておそらく歴史上の人物の生き様に粋を見出して、それが好きなんです。
でも浅井さんって多分そういうところに粋を感じたことがない人なのかな……って思いました。歴史上の人物に粋を感じたことがあるなら、ここを書きたいんだよ!になると思うんですよね。その情熱が伝わってこないんです。
結局のところ、上手い下手ではなくて、脚本家の感性に合うか合わないかなんですよね……。

でも浅井さんの言葉の選び方は本当に素晴らしいんですよね……。
作詞から抜けるって言われたら、私は号泣してしまいます……貴方がいないと駄目だ〜〜〜!!貴方の作詞がいいんです!!!

ということで、アンケートを書いてきます!
今回、刀剣男士たちの技量任せの難易度の高いミュージカルになっているので、大千秋楽では味のある作品に仕上がっているのでは……と期待しています!

 

↓次の「陸奥一蓮」の感想↓

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